1.メンバー
プロジェクトリーダー |
川端 健二 |
研究員 |
山口 朋子 |
特任研究員 |
國分 康博 |
技術補助員 |
西島 美妙江、楠 弥生、Mary Sheryl M. Saldon |
事務補助員 |
南谷 美香 |
研修生 |
田中 晶子、内藤 千尋 |
2.研究目的・背景
幹細胞とは自己複製能 (self-renewal) と分化多能性 (pluripotency) を有した種々の細胞の元となる細胞のことであり、近年注目を浴びている ES 細胞や iPS 細胞なども幹細胞の一種です。本プロジェクトでは、これらの幹細胞から分化誘導した細胞 (血液細胞や肝細胞など) を用いて医薬品の有効性や毒性を評価する系を新規に構築することにより、創薬研究を加速化することを目的としています。
3.研究内容
- 薬物の重要な副作用の一つである薬物アレルギーはひどい時には生命に関わります。薬物アレルギーの評価法については、現在のところ、動物を利用した評価法が知られていますが、動物愛護の観点から今後は細胞を利用した評価法の開発が期待されています。アレルギーにはマスト細胞が重要な役割を果たしていることが知られていますが、マスト細胞は循環血中には存在せず、末梢組織中に浸潤して存在するため、ヒト成体から採取して培養することは非常に困難です。そこで、ヒト iPS 細胞からマスト細胞のような免疫細胞を分化誘導して、それを利用して新しい薬物免疫毒性(アレルギー)評価法を構築することを試みています。
- 薬物神経毒性に関しては、iPS 細胞を用いた毒性評価系の開発が精力的に行われてきました。iPS 細胞から神経細胞を分化誘導し、得られた神経細胞に薬物を作用させて細胞の生死を判定するというものです。しかしながら、生体の脳には血液-脳関門(Blood Brain Barrier; BBB)というバリヤーが存在するため、本来は神経毒性の強い薬物でも BBB を透過さえしなければ毒性が発揮されない可能性も考えられます。BBB の正体は現在では脳血管内皮細胞が互いに強固に結合してできたものであることが知られています。そこで、in vitro 血液-脳関門モデルを構築し、薬物の脳内移行性を包括した新しい薬物神経毒性を作製したいと考えています。
